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エメリッヒ監督が作って後悔した続編映画『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』 興行的失敗で「第3弾は凍結」

インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (吹替版)

2020年2月21日、フジテレビ系列『土曜プレミアム』で2016年に公開されたローランド・エメリッヒ監督作品『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』が地上波初初放送される。本作は1996年に公開された『インデペンデンス・デイ』の続編。前作は製作費0.75億ドルに対して全米興行3.6億ドル、世界興行8.17億ドルの大ヒットを記録していた。一方で20年ぶりに公開された続編である本作は製作費1.65億ドルに対して全米興行1.03億ドル、世界興行3.89億ドルと大コケ。日本での興行収入も前作は106.5億円の大ヒットだったが、本作は26.6億円まで大幅ダウンした。そのため本作はシリーズ第3弾を含めた「二部構成」を予定されていたが、興行的に振るわなかったことから打ち切りとなった。エメリッヒ監督によると、第3弾は「宇宙での冒険」を描く予定だったという。

 

  • エメリッヒ監督、『リサージェンス』に後悔

インデペンデンス・デイ (吹替版)

スーサイド・スクワッド(吹替版)

エメリッヒ監督は本作について以下のように語る。

僕は『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』を作るのをやめるべきだった。なぜなら、僕たちの手にはずっといい脚本(=ウィル演じるヒラー大尉をメインに据えたバージョン)があったんだ。だが、ものすごく急いで別の脚本を形にしないといけなくなった

『インデペンデンス・デイ』続編など作らなければよかった…ローランド・エメリッヒ監督が後悔 - シネマトゥデイ

本作は全米大手批評サイト「ロッテントマト」でも批評家支持率29%、観客支持率30%と酷評された映画だけど、どうやら本人も納得いってなかったようだ。エメリッヒ監督はその理由を「ウィル・スミスが出演してくれなかった」からだと語る。ウィル・スミスは本作と同時期にオファーがあった『スーサイド・スクワッド』の方を選んでしまった。そのため本作の製作陣は、「ウィル・スミス出演バージョン」の脚本から「ウィル・スミスがいないバージョン」の脚本へ移行したのだろう。ただエメリッヒ監督にとって「ウィル・スミス出演なしバージョン」の脚本は、「ウィル・スミス出演バージョン」の脚本ほど魅力的ではなかったという。しかし一度オファーを引き受けた以上、引き下がることもできずそのままモヤモヤしたまま撮影を続けて、結局駄作を生み出してしまったという感じなのかもしれない。

 

 

  • 「ディザスター映画の続編」 なぜ?

2012 (字幕版)

またエメリッヒ監督は以前から続編に否定的なスタンスを取っており、本作まで「続編映画」を手掛けたことはなかった。また本作のインタビューでも「続編映画」について以下のように語っている。

私はこれまでずっと続編なんて嫌いだ、と言い続けてきた。実は今も嫌いだけどね(笑)。

新章『インデペンデンス・デイ』エメリッヒ監督インタビュー エイリアンの地球侵略に込めたメッセージとは? | ガジェット通信 GetNews

ただし公開から20年経ったことでデジタル技術が進化したことから、新しい『インデペンデンス・デイ』に挑戦したかったなどと語っている。一方で2009年に公開された『2012』のときは「最新のCG技術を駆使して地球上で起こり得るあらゆる災害を描いたし、これ以上の描写はできない」として「ディザスター映画はもう作らない」という宣言をしていた。それどころかプロデューサーがエメリッヒ監督に『2012』の製作を提案したときに以下のような回答をされたという。

最初にこの映画のアイディアを監督に話したら、『もうディザスター・ムービーは作りたくない」と反応は良くなかったんだ。

エメリッヒ最新作『2012』冒頭53分を初公開! でもまだたった3分の1? | cinemacafe.net

この事実からはエメリッヒ監督は「ディザスター映画をかなり前の段階から作りたくないと思っていた」ことが分かる。また『リサージェンス』製作段階でも公開直前のインタビューで前向きな発言をすると同時に「続編嫌い」であることは改めて言及していた。果たしてエメリッヒ監督は本当に「ディザスター映画の続編」である『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』を作りたかったのだろうか?

 

 

  • 『2012』以降のエメリッヒ監督作品

もうひとりのシェイクスピア (字幕版)

そのヒントは『2012』以降のエメリッヒ監督作品の評価にある。まず『2012』の次の作品は「史上最高の劇作家シェイクスピアは実は別人」という大胆な仮説に基づいた歴史ミステリー『もうひとりのシェイクスピア』とエメリッヒ監督らしくない作品だった。これは外国の監督だけではなく日本の監督にも当てはまることだが、普段興行的には成功しているが、世間からはバカにされがちな大作映画を作っている監督は「自分が本当にやりたかった映画」みたいなことをいって、低予算映画を製作するケースが多々ある。勿論それで高評価を収めて、世間の評価が上昇するケースもある。そのためエメリッヒ監督としても本作でそれを成し遂げたいと思ったのかもしれない。しかし本作の「ロッテントマト」での評価は批評家支持率45%、観客支持率53%と酷評を受けた。尚且つ本作の製作費は0.3億ドルとエメリッヒ監督作品としては比較的低予算だったが、世界興行0.15億ドルの大コケとなってしまった。

ホワイトハウス・ダウン (吹替版)

その次にエメリッヒ監督が製作したのは『ホワイトハウス・ダウン』だった。本作は製作費1.5億ドルの大作映画だったが、エメリッヒ監督らしいディザスター映画ではなく『ダイ・ハード』のようなアクション映画だった。そのため映画ファンの中では「ホワイトハウス版『ダイ・ハード』」と呼ばれることもある作品だ。本作は大作映画だけあって「ロッテントマト」での批評家支持率は51%とイマイチだったが、観客支持率は62%と悪くなかった。しかし全米興行は0.73億ドル、世界興行も2.05億ドルと惨敗だった。日本での興行収入も9.9億円と、あと一歩10億円に届かなかった。全米興行の不振は同時期に公開された『エンド・オブ・ホワイトハウス』が大ヒットしていたことが影響したとされる。

ストーンウォール(吹替版)

2作連続大コケした後にエメリッヒ監督が公開したのは、ニューヨークでのゲイ解放運動を促した1969年のストーンウォールの反乱を背景に、架空のゲイ青年の成長を描く『ストーンウォール』だった。エメリッヒ監督は自身がゲイであることを公表しており、本作には並々思いがあったことを感じさせる。しかし本作は「ロッテントマト」で観客支持率85%と高評価を得たが、批評家支持率は10%と酷評された。また興行面でも世界興行29万ドルとエメリッヒ監督史上ワーストを記録した。ディザスター映画を捨てたエメリッヒ監督の作品は3作連続大コケした。一方で当時最後のディザスター映画となった『2012』は製作費2.00億ドルの超大作にして、世界興行7.69億ドルの大ヒットとなっている。この状況(おそらく本作のオファーは『ストーンウォール』公開前だろうが…)で自身最大のヒット作にして、代表作であるディザスター映画『インデペンデンス・デイ』の続編のオファーがくれば「続編嫌い」「ディザスター映画はもうやらない」と宣言しているエメリッヒ監督としても思わず受けてしまいたくなるような魅力があったのではないかと感じる。結果的に自身の信条を捨ててまで製作した『リサージェンス』も興行的・批評的失敗作となり、よりキャリアに傷をつける結果となったのは悲しい。エメリッヒ監督としても「続編嫌い」「ディザスター映画やりたくない」「ウィル・スミスは出演しない」の三重苦を抱えた映画が興行的に失敗して後悔も大きいのだろう。

 

  • とにかくデカくした『リサージェンス』

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日本での評判も悪かった『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』だったが、個人的には結構好きだ。本作のコンセプトは「とにかく前作よりデカくする」ことであり、最新のVFX技術をふんだんに盛り込み地球の1/3を覆う巨大な宇宙船と、それによるディザスターシーンを描いている。特にトム・クルーズが『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でノースタントアクションを見せたドバイの「ブルジュ・ハリファ」をエイリアンが乗る巨大宇宙船が持ち上げて、ロンドンの「ロンドン・アイ」に落とすシーンはグッチョングッチョン過ぎて何やってるかよくわからなかったが、スケールの大きさは最高だったし、「観光名所は狙われやすい」みたいなセリフも良かった。宇宙船での脱出シークエンスは「船が画面に向かってくるシーンは、『2012』の地下鉄が画面に向かって来るシーンにソックリだな…」と思ったが、それはそれで「エメリッヒが雑な感じに焼き回した感」があって結構好きだった。またディザスター映画はどうしても前半の世界が崩壊するシーンがピークになって、後半はスケールダウンして飽きてくるというケースが多いのに対して、本作はクライマックスで女王が登場して怪獣映画のような魅力を発揮してスケールダウンを避け、映画として「飽きさせないド派手なシーン」で終わるのも個人的には高評価だった。上映時間も120分と丁度良く、「ベスト・オブ・エメリッヒ」みたいな感じで結構好きな映画なのだが、エメリッヒ監督含めて「失敗作」扱いされている現状は残念だ。

 

 

  • 最後に…

Midway [Blu-ray]

エメリッヒ監督の最新作は今年秋公開予定の『ミッドウェイ』。本作は真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までを史実に基づき描いた作品。豊川悦司・浅野忠信・國村隼と日本の有名俳優も複数出演しているが、日本での公開は全米の1年遅れとなっている。「ロッテントマト」での批評家支持率は43%と振るっていないが、観客支持率は92%と高評価だった。一方で興行面では製作費1.00億ドルに対して全米興行0.56億ドル、世界興行1.23億ドルと振るっておらず5作連続大コケとなってしまった。エメリッヒ監督のその次の作品は謎の力によって軌道から外れた月が地球めがけて落下してくるSF映画『Moonfall』だという。そろそろヒット作品が欲しいところだ。

 

参考文献

ローランド・エメリッヒ監督「インデペンデンス・デイ3」の構想を明かす : 映画ニュース - 映画.com

Roland Emmerich - Rotten Tomatoes

ローランド・エメリッヒ監督、新作はSFアクション大作「Moonfall」 : 映画ニュース - 映画.com

 

インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (吹替版)

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  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: Prime Video
 
インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (字幕版)

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