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死後、怒涛の商業展開に賛否も… 『100日後に死ぬワニ』をヒットに導いた「SNS利用者」と「ネット漫画」の特徴

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※原作者が「最初から仕組まれたプロジェクトではない」と否定したので、一部赤文字で加筆しました。

『100日後に死ぬワニ』の100日目が更新されてから、怒涛の商品展開が始まった。その関連企業には電通のグループ企業があったことから、「本作は電通案件だった」とTwitterでは話題になった。実際、本作の発案が広告会社側からだったのか、どうかは定かではない(原作者は否定)が、一度そういう疑惑をかけられるとワニを以前のような目で見れる人は少ない。何より、「死と日常」というテーマは如何にも広告会社が考えそうなことで、「SNSで話題になること」含めて最初から狙って行われていたことだと思うと、「まんまと踊らされた」と複雑な気持ちになっている人も多いのだろう。

 

ただ仮に本作が狙って作られたものだとしたら素直に凄いと思う。漫画というのは一昔前まではヒットを狙うとなると、大手出版社の人気雑誌で連載するしか方法はなかった。しかしインターネットが登場し、スマホの普及率が増える等に従って「インターネットに漫画をアップすることで、何の実績もない一般人でも多くの人に漫画を読んで貰えるチャンス」ができた。一方で現在は「ネット漫画」が飽和状態にあり、中々読んでもらえないというデメリットも生じ始めている。話題になっている漫画を見かけても、ワンクリックして漫画が掲載されているリンクに飛ぶのすら面倒だと感じる人は少なくない。

 

 

『東京タラレバ娘』『偽装不倫』の東村アキコ先生は韓国の縦スクロール漫画と日本の雑誌漫画について自身の息子の質問した際、以下のような回答を得たという。

日本の(雑誌に載っている)マンガの方がストーリー的に凝ってるし面白いんじゃないの?と聞くと、『学校から帰って、ソファに転がってパッと見るならコッチかな』という答えでした。

「ガラパゴス化していく日本マンガ」(小原篤のアニマゲ丼):朝日新聞デジタル

この東村アキコ先生のエピソードは当時中1だった自身の息子の話だが、これは子供に限らず大人にも当てはまる話だ。現代人は時間がないし、面倒なことが嫌いだ。だから余程面白いことがない限り、ガッツリマンガを読むという行為はしないし、ドラマだって映画だって中々自分から新しいものを発見しようとはしない。取り敢えずトレンドを追いたいという気持ちはあるが、そのトレンドに莫大な時間を割くことが目に見えていると中々触れられない。それが有料だったりすると尚更だ。

 

それに関して、今回のワニは上手かった。ワニの漫画は4コマ漫画でツイートから漫画が掲載されているリンクに飛ぶ必要もない。その場で画像に触れれば簡単に読めるし、ほんの数秒で読み終える。また1話完結方式の4コマだったため、途中から参加もしやすいし、「1日目から読んでみたい」と思った人も過去ツイートを遡って短時間で読み返せるから、途中からでも話題に参加しやすい。その上、本作は100日後に「明確な死」を提示していたのも、読者の興味を持続させることができたし、「死と日常」というテーマ設定は誰でも「自分ごと」として読めるし、語りやすい題材だ。フォロワーの多いオピニオンリーダーがワニの漫画を引用リツイートという形で「死と日常」について語り、それが更にそのフォロワーたちによって拡散されれば漫画はドンドン広がっていく。(この点は企業、個人関係なく狙ってやったなら「凄い」と思うし、偶々そういう形になっただけというならより「凄い」と感じる)

 

近年のヒット映画である『シン・ゴジラ』『君の名は。』『カメラを止めるな!』やヒット漫画『鬼滅の刃』だって、SNSで話題になって売上を伸ばした面が大きい。だから今の時代はヒット商品を作るために「SNSで話題になる」という現象は、狙って作る段階に入ったのだろう。

 

 

こういう書き方をすると「狙ってSNSで話題になったら苦労しないよ!」という人がいるが、それはその通りだと思う。例えば一昨年公開の岡田准一主演の『来る』はプロモーションの仕方から、公開前は「『カメラを止めるな!』のように口コミで話題になって、ヒットする可能性は高い」と期待されていたが、あまり話題にならずに大コケした。でもだからといって、「SNSで話題になる」を狙ってやらない理由にはならない。

 

例えばテレビドラマの劇場版は「自身のテレビ局で放送しているバラエティで大量に映画の宣伝ができる」「ドラマの再放送が話題になる」「ドラマのソフトのレンタル回転数(今なら配信版の再生回数)があがる」「ドラマのスペシャル版を放送して視聴率が取れた上で、劇場版の宣伝にもなる」「大ヒットしたら、翌年『ヒット映画、地上波初放送!』という形で視聴率が取れる」と狙いがあって作られていることは多くの人が知っていることだ。もちろんこのやり方だって必ずしも成功する訳ではないけど、ヒットして莫大な利益を生み出すケースが多いから、このやり方は採用され続ける。だから今後、「SNSで話題させる」ことを予め狙った商品の作り方はドンドン出てくると思う。ドラマやアニメ、マンガがSNSで「撮影現場の写真」等をアップしたりするのも、少しでもヒットに繋がるように「話題になること」を目的としているやっているのだと思う。

 

今回のワニがそういう作り方をされた商品だったのかは分からない(繰り返しになるが、原作者は否定)けど、仮にそうだとしても、それはそれでやっぱり「スゴいな」と感じる。ただ「自分たちが見つけた作品」だと思って話題にしてた人や「『死と日常』について引用リツイートをしていた人」からすれば広告会社の策略にまんまと踊らされしまった可能性が高い訳だし、急に「冷めた」とか「萎えた」とかいう人の気持ちもわかる。

 

 

「ワニが死んだ後に、こんな露骨な商業展開を見せたのは失敗だったのでは!?」という声もあるが、おそらく「電通案件だ!」といって手のひら返して叩く人は向こうからすれば「宣伝ご苦労さん」といった感じで、もはや用済みで「電通案件」とかを気にしない層にターゲットを移しているのだろう。(仮にそうでないなら、商業展開に夢中になりすぎて周りが見えていなかったのだろう)それにしても「『SNSで話題沸騰!』とテレビで紹介する」ことを目的に「SNSで話題を作り」、100日目にトレンドを独占するために更新を20分遅らせたのだとしたら「本当に凄いな」と思う。(結局、100日目が遅れた理由は何だったのだろう…)「SNS利用者」と「ネット漫画」の特徴を徹底的に研究した結果が、今回のブーム(仮に狙ってなかったとしても、ブームの理由は「SNS利用者」と「ネット漫画」の特徴を掴んでいたことにあると感じる)なのかもしれない。

 

追記

原作者は最初から仕組まれたことではないと否定した。

 

追記2

 

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