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「最終回がヒドイ!」と炎上した漫画『LIAR GAME』をドラマしか観てなかったニワカが全巻読破した感想

LIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

<注意>『ライアーゲーム』のネタバレ

『マンガBANG!』というアプリで『ライアーゲーム』が全巻無料配信されていたので、ドラマ版しか観たことがなかったニワカがメダルを集めて読んでみた感想。

 

  • 『ライアーゲーム』とは!?

LIAR GAME コミック 1-19巻セット (ヤングジャンプコミックス)

『ライアーゲーム』は甲斐谷忍先生が『週刊ヤングジャンプ』連載していたギャンブル漫画。コミックス累計発行部数は500万部を超え、フジテレビによってテレビドラマ化、映画化されたヒット作品。物語は「バカ正直のナオ」と呼ばれるほど、他人を信じやすい女子大生・神崎直が謎の組織「ライアーゲーム事務局」が主催するゲーム・トーナメント「ライアーゲーム」に巻き込まれるという内容。困ったナオは、出所したばかりの天才詐欺師・秋山深一に助けを求め数々の「ライアーゲーム」に参加をしていく。

本作で展開されるゲームはプレイヤーが自分の得を考えずに、全員で協力してゲームに挑めば「誰1人負けない」ように作られている。しかし「負けたら多額の借金を背負わされる」という状況で見ず知らずの人を信用することは難しく、プレイヤーが「もしかしたら自分は裏切られるのではないか?」と疑心暗鬼になっていく様子がリアルに描かれる。また本作は主人公たちのゲームの攻略法も面白い。同じギャンブル漫画の『カイジ』では割とルール設定が単純なギャンブルを運や精神力等で乗り切っていくスタイルが取られるが、本作では緻密に設計されたゲームの穴を付いていくような攻略法が特徴だ。他者からの裏切りに合い追い込まれるシーンでは「逆転不可能」と思わせるほどの絶望感を味合わせてくれるが、その後運などに頼らずロジックを積み重ねて圧倒的不利な状況を逆転していく様子は爽快だ。ただ驚いたのは要所要所で自分の頭の中で先行して観ていたドラマ版のサントラが流れること。アキヤマのセリフもメチャクチャ松田翔太で脳内再生された。

 

 

  • ドラマ版とは全く違う原作の「フクナガ」

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<出典:甲斐谷忍/集英社>

今回原作を読んで一番驚いたのはフクナガのキャラクター設定。ニューハーフであるということは何となく認識していたのだが、ドラマ版ではキノコ頭のウザキャラだったフクナガが原作では「女」なら惚れてしまいそうなレベルで魅力的なビジュアルで心底驚いた。しかもアキヤマのことを好きになって、精一杯のお洒落をして「ライアーゲーム」に参加したのかもしれないという恋する乙女の一面も見せてくる。

またドラマ版では『ファイナルステージ』となる劇場版でも掴みのギャグのように早々にナオを裏切ったフクナガだったが、原作ではみんなのことを本気で救いたいと考えるナオの気持ちに触れて会心。「入札ポーカー」では最後まで自分を信じて裏切らなかった女性に少しでも次のステージでゲームが有利に進められるようにと、自らが破滅することで彼女を儲けさせて救う優しさを見せる。フクナガは「私はナオのようになりたかった… でもできなかった」と言い残して敗退したというエピソードを読んで、「ドラマ版であんな濃いキャラで良い意味で信用出来なかったフクナガさんが、原作ではこんないいキャラに成長してたなんて…」と結構本気で感動した。ナオと一緒に「フクナガさあああん」と崩れ落ちるレベル。本作の登場キャラクターの中で個人的には一番好きなキャラとなった。

 

  • カンザキナオの行動に触れることで…

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<出典:甲斐谷忍/集英社>

本作には「他人を信用出来ない人」が沢山登場する。それは「ライアーゲーム」に参加する過程で人間不信に陥るケースもあれば、「ライアーゲーム」に参加する以前からそうであるケースなど様々だが、主人公のカンザキナオだけは一貫して他人を裏切らず、常にみんなが助かる方法を模索していた。そのナオの行動に触れることで「人を信じてみよう」と協力してくれるプレーヤーが現れたり、心に深い傷を負うなどして人を信用出来なくなっていたアキヤマやヨコヤ、ハリモトなどのモヤモヤを解消していくことで本作の物語は展開していく。そして「みんなが自分のことだけを考えずに協力し合うことができれば大きな壁を乗り越えることができる」ということを訴えてくる。「世界中の人々がこういう気持ちになれば世界も変わるのにな…」と思う反面、その難しさは現実世界で嫌というほど実感させられる。

 

 

  • 「ライアーゲーム」の正体は小説!?

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<出典:甲斐谷忍/集英社>

ドラマ版では「大富豪が人間の他者を信じることができるのか確かめたかったから、ライアーゲームを開催した」みたいなオチだったような気がするが、原作での「ライアーゲーム」は恐怖が支配する国で体制批判のために書かれた小説で行われるゲーム・トーナメントの内容に沿ってゲームが行われていたことが明らかになる。ただしその体制批判の小説は全3巻のうち下巻は政府の検閲によって発売中止になり、小説家も政府によって消されてしまった。そのため小説の結末が分からなかった。だから小説と同じゲームを小説の登場人物に似たプレイヤーにプレイさせることで、小説の結末を見ようというのが「ライアーゲーム事務局」の狙いだった。そしてその様子を収めた動画を世界中に発信することで、権力者が恐れる「信頼は力を持つ」というメッセージを世界中の人たちに気づかせようと試みていたのだ。

正直「結構ありがちだな…」とも感じたが、この手の話が蓋を開けてみれば「こんなもんか…」というのはよくあること。全話読破してから少し時間が経った今は「結構上手くまとめたな」と感じている。

 

  • 「闇の権力者」が圧力で…

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<出典:甲斐谷忍/集英社>

一方で本作の最終回は大炎上した記憶がある。ネット上では「とにかくヒドイ!」と叩かれまくっていたが、読んでみると納得。世界中に発信した動画は公開してすぐに削除されてしまった。その理由は上述した小説の舞台となる国の「闇の権力者」が圧力をかけて消させたというモノ。ラストはアキヤマが「『闇』は俺たちの想像より遥かに深いってことだ」と説き、カンザキナオは「…そ そんな…」と絶望して物語は幕を閉じる。確かに綺麗に終わるのかと思わせといて、「えっ!?」と虚を突かれるような展開ではあった。ここで終わってしまったら「結局権力者には力でねじ伏せられました」という結末になって、「ライアーゲーム」が開催された意味も無くなってしまうけど、それでいいのだろうか?まさか最後の最後でこれまでのカンザキナオを通して作品が伝えてきたメッセージを全否定するようなオチになるとは思ってもみなかった。

 

 

  • 最後に…

ここで終わったらあまりにも消化不良なので、是非続編を描いて欲しい。それとも「権力者は強い!」「闇は深い!」「庶民がちょっと信じ合って協力したくらいでは簡単に潰されて終わり!」みたいなのが、本作のメッセージなのだろうか?それとも劇中でいくら希望を持たせる終わり方をしても現実は変わらないから、危機感を煽って「現実世界を変えてくれ!」と読者に訴えているのか… 何はともあれ「面白い漫画」ではあっが、結末が釈然としないのも事実だ。

 

LIAR GAME コミック 1-19巻セット (ヤングジャンプコミックス)

LIAR GAME コミック 1-19巻セット (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者:甲斐谷 忍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: コミック
 
LIAR GAME 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

LIAR GAME 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:甲斐谷忍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: Kindle版
 

 

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