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アイドルは女の子の「可愛い」を売る仕事?スラックスを選んだ女子高生『さよならミニスカート』

さよならミニスカート 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

少女漫画誌『りぼん』の連載漫画『さよならミニスカート』を読んだ。

 

  • 「異例」の宣言で連載スタート

nlab.itmedia.co.jp

自分が本作を知ったキッカケは、最寄りのTSUTAYAにある『このマンガがすごい!』のトップにランクインしたマンガを紹介する棚で偶々目についたからという理由。自分が通っていた高校は女子のスラックスがOKという校則だったこともあり、「ジェンダー意識が高いマンガなのかな?」くらいのノリで手に取った。

既刊2巻までを読み終わったところで、本作について調べてみると『りぼん』に第一話目が掲載されたときに編集長名義で「この連載は、何があろうと、続けていきます」と宣言をしていたという。こんな宣言があったことを知らなかったというのは、自分の張ってるアンテナの弱さを裏付けるものでありガッカリしてしまったのだが、このタイミングで読めて良かったと思える漫画だった。

 

 

  • 思い出した高校時代

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<出典:牧野あおい/集英社>

「結構大人向けの漫画なのかな?」と手に取っていたので、冒頭1ページ目でアイドルグループが登場して「うわ〜、スゴい『りぼん』っぽい漫画だな…」と少し手に取ったことを後悔したのも事実だ。ただ読み進めていくと、次第に物語に引き込まれていく。本作の主人公である女子高生は制服をスカートではなく、スラックスを選ぶ。そのことによって周りからは「なんかあの子変だよねー」「男の子になりたい系なのかなー」みたいな会話のネタにされる。自分は前述した通り、「女子のスラックスOK」の高校に通っていたが、やはり女子でスラックスを選ぶのは少数派。高校生活を3年間送る中で、スラックスを選んだ女子はそういう扱いを受けている現場に何度か遭遇した。もちろんそこに明確な悪意はないのだろうし、本気で「おかしい」とか思っているわけでも何でもないんだろうが、何となくこの手の会話のネタにはされていた。というより、自分もこの手の会話に加わっていたし、クラスの中心的人物がこの手の発言をしているときに笑ったりもしていた。だからこれらのセリフを読んでいる時は、高校時代を思い出して少し胸が痛くなった。

 

 

  • スカート履かない理由は「傷害事件」

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<出典:牧野あおい/集英社>

本作の主人公がスカートを履かない理由は、過去にミニスカを売りにするアイドルとして握手会をしていたときにファンから刺されて「女でいることが嫌になった」という理由。彼女は刺されたことで、学校を転校するがその転校先の学校には男子からは絶大な人気を得るも、女子からは「どうして男子の肩ばかり持つの!」「あの行動って、絶対男子にコビ売ってるよね」と妬まれるタイプの女子がいた。ネットスラングでいえば「名誉男性」と呼ばれる存在だろう。その子はクラスの男子からの期待に応えて、本当は出場したくない「仮装大会」という名の「ミスコン」に出場することになる。主人公はそれを止めようとするのだが、「神山さんはずっと何万人に向けて売ってきたんでしょ 女の子の『可愛い』を ねぇ どんな気持ちだったの」と問いかける。「どうしてただの仮装大会がミスコンになったのかな どうして男子の部活にだけ女子のマネージャーがいるのかな どうして女の子のアイドルはみんな30歳になる前に消えちゃうのかな」と言葉を続ける。つまり彼女はこの世界の男性が優遇される社会に不快感を感じながらも、それを利用して生きていこうとしていたわけだ。

ここで浮上するのは「アイドルとして自分の『女の子としての可愛さ』を売っていた主人公」と「自分の『女の子の可愛さ』を利用することで、男性優遇社会を助長している彼女」は「何が違うのか?」という問題。主人公はその違いを「女の子の可愛さ」を「奪われて終わる」だけなのか、「そのお返しを貰えるか」だと主張する。これを読んだときに「なるほど、搾取されるだけの関係ではなく、お互いに『与え、与えられる』の関係が大切なのか…」とか思う反面、「アレ?でも結局アイドルとかグラビアとかって、『女を売り』にしているわけだし…」みたいなモヤモヤもあった。

 

 

  • 「モノとして扱われる」かどうか

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<出典:牧野あおい/集英社>

自分は「漫画雑誌はグラビアより漫画の表紙のが嬉しい!」というタイプだし、「アイドルに興味もなければ、ハマった経験もない」という人間だから「どうでもいい」といえば「どうでもいい」し、それらがなくなっても困らない訳だが、この記事を公開する前に「そのモヤモヤは少し晴らしときたいな」とも思った。そこで「グラビア フェミ」とか「アイドル フェミ」みたいに検索をしていると、「あっ、なるほどな」と思える記事があったので以下に引用する。

グラビアアイドルもキャバ嬢もAKBのようなアイドルも、一人の人間であって、もののように扱う人がいなくなればいいんだと思う

【フェミニズム】倉持由香さんにガッカリ!私のグラビアに対する意見 - 石川優実(文化通信特報版)

そう思えば、本作の主人公の主張も納得がいく。傷害事件後に彼女の理想とするアイドル像は「モノとして扱われる存在」ではないが、彼女は「モノとして扱われる存在」だったのだ。

 

  • 最後に…

本作は前述した通り、『りぼんコミックス』なので主人公と彼女は同じ男子に恋をして… みたいな少女漫画の王道展開も楽しむことができる。本作は『ジャンプ+』などでも配信されており、男性読者も多いみたいなので「『りぼんコミックス』はちょっと…」と思ってる人にもオススメ!

 

さよならミニスカート 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

さよならミニスカート 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)

  • 作者:牧野あおい
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/11/22
  • メディア: Kindle版
 

 

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