『マトリックス4』から漂う地雷感 / ウォシャウスキー姉妹『マトリックス』以降「ヒットなし」

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『マトリックス4』の製作が発表された。事前の報道では監督・主演が変わるという話もあったが、嬉しいことに監督はウォシャウスキー姉、主演はキアヌ・リーブスが続投するという。自分は『マトリックス』シリーズは評判の悪い2作目・3作目含めて好きだから楽しみではあるのだが、やはり地雷感は否めない。

 

マトリックス (字幕版)

『マトリックス』1作目は今から20年前の1999年に公開された作品。同年公開の『スター・ウォーズ エピソード1』がCGばかりで失望の声が上がる中で従来のCGにはない、ワイヤーアクションやバレットタイムなどのVFXを融合したアクションシーンやマトリックスの世界を緑色に描くなどの斬新な映像表現は「映像革命」と評されて話題になった。本作の製作費は0.63億ドルに対して全米興行は1.71億ドル、世界興行は4.63億ドルの大ヒット。日本でも興行収入85.0億円のヒットとなり、地上波初放送時の視聴率は20.2%を記録した。

マトリックス (字幕版)
 
マトリックス(吹替版)

マトリックス(吹替版)

 

 

 

マトリックス リローデッド (字幕版)

マトリックス レボリューションズ (字幕版)

『マトリックス』の1作目は1999年のアカデミー賞では視覚効果賞、編集賞、音響賞、音響編集賞を受賞して、興行的にも批評的にも成功した作品となった。その反響を受けて4年後の2003年に続編にしてシリーズ完結編となる『マトリックス リローデッド』と『マトリックス レボリューションズ』を2部作連続公開。

『リローデッド』は前作から2倍以上に増えた製作費1.50億ドルに対して全米興行は2.81億ドル、世界興行は7.35億ドルと期待に応える大ヒットを記録。日本での興行収入も110.0億円と大台を超える大ヒットとなり、タイアップとして放送された1作目の地上波視聴率は25.1%と初放送の数字を超える程の勢いがあった。

しかし「始まりが あるものには すべて 終わりがある」というキャッチコピーのもと、全世界同日同時刻公開された完結編の『レボリューションズ』は製作費1.50億ドルに対して全米興行は1.39億ドル、世界興行4.24億ドル、日本興行67.0億円と事前の期待を大きく下回りシリーズ最低興行となってしまった。

 

つまり『マトリックス』シリーズは完全な尻すぼみという形で幕を閉じたシリーズであるのだが、更に『マトリックス4』に地雷感を感じてしまうのはウォシャウスキー姉妹のその後のキャリアだ。

 

 

スピードレーサー(吹替版)

まず『レボリューションズ』公開の5年後に公開された日本のテレビアニメ『マッハGoGoGo』の実写映画版『スピード・レーサー』は製作費1.20億ドルに対して全米興行は0.43億ドル、世界興行は0.93億ドルと製作費も回収できない記録的な大コケとなってしまう。日本での興行収入も3〜4億円程度と大惨敗だった。また『スピード・レーサー』はロッテントマトで批評家支持率40%、観客支持率60%と批評面でも振るわなかった。

 

クラウド アトラス (字幕版)

『スピード・レーサー』の大コケから4年後に、トム・ティクヴァと共同監督してデイヴィッド・ミッチェルの小説を実写映画化した『クラウドアトラス』を公開。本作は19世紀から未来まで、文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いた6つの物語をグランドホテル方式で描き、トム・ハンクスらキャストは各エピソードに応じて複数の人物を演じるという、複雑な手法が取られていることなどから、ロッテントマトでの批評家支持率も観客支持率も共に66%と悪くはない。しかし興行的には製作費1.00億ドルに対して全米興行が0.27億ドル、世界興行が1.30億ドルと振るわなかった。日本での興行収入も2.3億円と厳しい結果に終わった。

クラウド アトラス (吹替版)

クラウド アトラス (吹替版)

 

 

 

ジュピター(吹替版)

『スピード・レーサー』『クラウドアトラス』と2作連続興行的に失敗したウォシャウスキー姉妹は2015年にオリジナル映画にして監督自身初の3D映画『ジュピター』を公開した。日本では「『マトリックス』から16年 映像革命の 新章はじまる」というキャッチコピーも作られたが、ロッテントマトでの批評家支持率は27%、観客支持率は38%と惨敗。興行的にも特殊効果が間に合わなかったことなどから起きた公開延期などにより膨れ上がった製作費1.76億ドルに対して全米興行は0.47億ドル、世界興行は1.83億ドル、日本興行は4.7億円と目も当てられない程の大コケとなった。

ジュピター(字幕版)

ジュピター(字幕版)

 
ジュピター(吹替版)

ジュピター(吹替版)

 

 

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映画が3本連続コケたウォシャウスキー姉妹はキャリア的に終わったかと思われていたが、同年Netflixオリジナルドラマ『センス8』を公開。今までの多くのSFにおいて充分に描かれていないとされている、政治、自己同一性、セクシュアリティ、ジェンダー、そして宗教といったテーマを掘り下げ、LGBTQのキャラクターやテーマを掲示したことで批評家の評価は概ね好意的で、当初は『ハウス・オブ・カード』に次ぐNetflixの看板ドラマ感すらあった。しかしドラマはシーズン2で再生回数と莫大な製作費を理由に打ち切りを発表。ファンの声もあり、スペシャルドラマで完結という形にはなったが、人気低迷で打ち切りという事実には何ら変わりはない。

Sense8: Season 1 (A Netflix Original Series Soundtrack)

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そしてこの流れで公開されるのが監督のキャリア最高のヒット作にしながら、尻すぼみでシリーズが完結した『マトリックス』の続編。どうしても「キャリアが絶望的で追い込まれまた監督が、自身の過去の栄光にすがって起死回生をかけてきた」という風に見えてしまう。

 

ただ当然ながら、自分は『マトリックス4』にコケて欲しい訳でも駄作であって欲しい訳でも無い。ただただ好きなシリーズ、好きな監督だからこそ心配なのだ。この心配が杞憂で終わることを願う。もしかしたら大コケ続きの絶望を『マトリックス4』にぶつけることで傑作が生まれるかもしれないし…

 

 

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もしダメなら原点回帰でデビュー作の『バウンド』みたいな低予算のクライムサスペンス映画を作って欲しい。

Bound

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