京都アニメーション放火事件、犠牲者「実名報道」に波紋

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京アニ放火殺人から1カ月 遺族「夢も希望もない」(19/08/18) - YouTube

「京都アニメーション放火事件」で京都府警が被害者の実名を発表した。

 

  • 警察の捜査状況

「京都アニメーション放火事件」とは、2019年7月19日に京都アニメーション第1スタジオに男が侵入してガソリンを撒いて放火したことで、同社社員の69人が被害に遭い、うち35人が死亡、34人が負傷した事件。目撃情報によると男は建物に入った直後に火をつけながら「死ね」と叫んだという。男は犯行動機として「小説を盗んだからやった。」などと述べたとされている。

一方で青葉容疑者は全身火傷をして重篤の状態のため事情聴取が出来ず警察の捜査は難航しているという。捜査状況の詳細は上記に貼った『朝日新聞デジタル』の記事を確認して欲しいが、「小説を応募していた」「京アニに強い関心があった」ことなどが捜査線上で浮かび上がっており、現在は匿名掲示板に書き込まれた「京アニへの恨みを募らせた書き込み」が青葉容疑者の書き込みである可能性が高いとして、タブレットやスマホなどの解析を進めているという。

 

 

  • 警察庁は「全員の葬儀終わるまで待て」と指示

毎日新聞によると京都府警はお盆前に実名を公表する方針だったが、警察庁が「全員の葬儀が終わるまで待て」と指示があったことから全員の葬儀が終わるまで発表を遅らせたという。

 

  • 京都府警捜査一課長「犠牲者の名誉守る」

京都府警捜査一課長は「事件の重大性、公益性から実名を提供すべきだと判断した。」と説明。またネット上で憶測などから間違った情報が拡散されるなど、被害者の名誉が毀損されている現状についても触れた。

 

  • 毎日新聞・朝日新聞は「実名報道必要」

毎日新聞は、事件や事故の犠牲者について実名での報道を原則としています。亡くなった方々の氏名を含め正確な事実を報じることが、事件の全貌を社会が共有するための出発点として必要だと考えます。遺族の皆様への取材に関しては、そのご意向に十分配慮し、節度を守ります。

京アニ放火犠牲者、残る25人実名公表 京都府警 葬儀待ち遺族に説明 - 毎日新聞

朝日新聞は事件報道に際して実名で報じることを原則としています。

犠牲者の方々のプライバシーに配慮しながらも、お一人お一人の尊い命が奪われた重い現実を共有するためには、実名による報道が必要だと考えています。

京アニ放火事件、25人の身元公表 全犠牲者明らかに:朝日新聞デジタル

毎日新聞と朝日新聞のデジタル記事では実名報道の第一報の最後に「実名報道の必要性」と「被害者遺族への配慮」を改めて説明。

遺族への報道機関の取材が集中するメディアスクラムを避けるため、新聞・通信社とテレビの各1社が、代表して遺族に取材の意向を尋ねる取り組みをした。

府警「臆測が名誉を毀損」京アニ放火、葬儀終え身元公表 [京アニ放火]:朝日新聞デジタル

朝日新聞によると遺族への精神的な配慮から新聞・通信社とテレビの各1社が代表して遺族に取材の意向を尋ねる取り組みをしたという。

実名報道を巡る課題は、メディアスクラム(集団的過熱取材)など取材手法と関わる。

毎日新聞も、取材にあたって遺族や関係者に十分配慮するよう独自の指針を定めた。

実名原則、その都度議論 毎日新聞の立場 - 毎日新聞

また毎日新聞は被害者の実名報道の第一報とは別に座間市や相模原市で起きた事件に対する毎日新聞の報道姿勢を振り返りながら、今後の方針についても説明する「実名報道」そのものについての記事を配信した。

 

  • マスコミは取材過程で被害の全容把握か

ネットではマスコミが警察に対して実名を公表するように要求したことが問題視されたことに対して、マスコミは取材過程で被害の全容は把握していて記事にする「お墨付き」が欲しいだけという意見もあった。

 

 

  • 35人中21人の遺族「実名公表応じず」

京都府警によると、全犠牲者35人のうち14人が実名発表を承諾し、21人が応じなかったという。

府警の西山亮二捜査1課長は「早く名前を伝えてほしいという方もいて、家族の中で意見が割れているケースもある」と、遺族の意向を聞き取る難しさを語った。

「家族で意見割れるケースも」 京アニ事件犠牲者発表で府警幹部 : 京都新聞

京都府警によると実名公表を承諾した被害者家族は35人14人で21人が応じなかったという。また家族の中で意見が割れるケースもあったという。

 

  • 遺族「『石田敦志』をどうか忘れないで」

決して『35分の1』ではない。ちゃんと名前があって毎日頑張っていた

残った我々ができることは、記憶して忘れないでいただく。そういったことしかできない。

『石田敦志』というアニメーターが確かにいたということを、どうか、どうか忘れないで下さい

「『石田敦志』をどうか忘れないで」京アニ遺族が会見 [京アニ放火]:朝日新聞デジタル

実名公表に応じなかった遺族が多い中で石田敦志さんの父親が、京都府警伏見署で会見。実名公表を承諾した理由や息子への想いを語った。

 

  • 「実名報道の必要性」と「メディアのモラル」は別

「実名報道の必要性」について説明されたツイート。「実名報道の必要性」と「メディアのモラル」については切り離して考えるべきとしている。

 

 

「実名報道」は「真実であることを保証」する意味で必要だと思うが、「メディアスクラム」は問題だ。ただ「実名公表」が「メディアスクラム」が起きる問題の本質だとは思わない。何故ならマスコミは警察発表とは関係なく現場に向かい独自取材をするからだ。そして警察発表前こそが独自スクープを入手するために一番取材が加熱する時期だろう。また「メディアスクラム」は「記事にして儲けたい」という気持ちより「記事にして、この事件の悲劇性を伝えたい」という正義感が故に暴走に繋がっているように感じる。ただ遺族の気持ちを考えれば、今回の警察庁の判断同様、葬儀が終わるまでは静かにしてあげて欲しいと感じた。

 

世の中の殆どの事件は遺族の声が世間に届かない段階で実名報道されて、殆ど誰も気にしないでその報道に触れている。

 

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