『アルキメデスの大戦』が高評価も『ドラクエ』は賛否両論 同じ山崎貴監督作品で評価割れたの何故?

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この夏山崎貴監督が封切った『アルキメデスの大戦』が高評価を得ている一方で、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は賛否両論だ。同じ山崎貴監督作品でありながら、何故ここまで評価が大きく割れるのか?

 

ここで注目したいのは山崎貴監督のインタビューで語っている内容だ。2作品のインタビュー内容を比べると山崎貴監督の作品にかける思い入れやモチベーションの違いが浮き彫りになっている。

 

映画チラシ アルキメデスの大戦 菅田将輝

まずは『アルキメデスの大戦』、山崎貴監督は製作に至った理由を以下のように語る。

 

よく一緒に仕事をしているプロデューサーが「映画にはできないと思いますけど、すっごく面白かった」と薦めてくれたのが、原作マンガとの出会いです。そのとき僕の中では「いやいや、やってやろうじゃないか!」と挑戦を受けた気持ちがあって。それで読んでみたらすごく面白かったし、新しい切り口で戦艦大和が描かれていてワクワクしたのを覚えています。

「アルキメデスの大戦」山崎貴×三田紀房インタビュー - 映画ナタリー 特集・インタビュー

 

またパンフレット等のインタビュー内でも「子供の頃から大和に惹かれていて、いつか大和を題材にした映画を撮りたかった」「今までの大和映画とは違う切り口にしたかった」「最新のVFX技術を駆使して今までの作品では出来なかった史実に沿った大和沈没シーンを描きたかった」「今の日本の空気に危うさを感じるから、国や国民が危うい方向に向かった時代の映画を作ることで問題定義をしたかった」など『アルキメデスの大戦』に対する熱い想いを語っている。

 

つまり山崎貴監督にとって『アルキメデスの大戦』は周囲の「映画は無理」という言葉を跳ね除けて自ら立てた企画で、自分の想いをぶつけた映画であるといえる。

 

 

映画 ドラゴンクエストユア・ストーリー パンフレット

一方で『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』のインタビューでは、製作に至った理由を以下のように語っている。

 

実は4年前からオファーをいただいていたんですが、ずっとお断りしていたんです。なぜなら、ゲームは人によっては何十時間もやるメディアですから感情移入の幅が半端ない。それを映画という技法で対抗するのは難しいなと。そもそもゲームを映画化してうまくいった作品をあまりよく知らない

(中略)

ところが、その後もプロデューサーから熱心に声を掛けられたことから、「だんだんその気になってきた」

(中略)

ある日、映画のプロットを書いているときに、「今回挑戦した新たな手法がふっと浮かんだ」

「ドラゴンクエスト」生みの親・堀井雄二、映画化で山崎貴総監督にお願いした2つのこと - シネマトゥデイ

 

別のインタビューでは膨大なストーリーが詰め込まれた『ドラクエV』を前後編や3部作で製作を考えなかった理由を以下のように語る。

 

分けて作る気はなかった。ドラクエだけに関わっているわけにもいかないので

ゲーム世代へのメッセージも込めて=「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の山崎貴総監督:時事ドットコム

 

また『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は山崎貴監督が関わった映画の中で唯一「総監督」とクレジットされており、現場は別の監督に任せている。更にどのインタビューを確認しても山崎貴監督自身の『ドラクエV』及び『ドラクエ』シリーズはおろかゲームとの思い出のような内容は一切語られておらず、VFXとして力を入れたシーン等への言及もない。ここから山崎貴監督は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』にあまり思い入れがないのではないかと推測される。

 

ここまでの話をまとめると『アルキメデスの大戦』は監督が周りの「映画は無理」という言葉を跳ね除けて自ら企画を立て熱量を込めて製作したことで高評価を得て、『ドラクエ』は当初オファーを断りながらもプロデューサーからしつこくオファーされたので仕方なく引き受けた結果賛否が割れる結果になったといえる。

 

ただここで話を終わらせれば「自分が心からやりたい企画をやることが映画への評価に繋がる」みたいないい話で終われるけど最後にちゃぶ台をひっくり返したい。

 

 

ALWAYS 三丁目の夕日

世間的には評価の高い『ALWAYS 三丁目の夕日』の製作までの理由を監督は以下のように語っている。

 

1作目と2作目で作った作品は、わりと自分の趣味に合ったものだったんですが、3作目はプロデューサーから「昭和の話やれ」と言われて。昭和なんて全然趣味じゃないし、やりたくなくてすごく嫌だったんです。でもプロデューサーはすごくやりたがっていて、1作目・2作目を好き放題やらせてもらったので、3作目はお礼奉公しなくちゃいけないかな、と思ってやることにしました。

やりたくないことも、やる。監督・山崎貴の映画づくり | 仕事・将来・キャリア | 将来・キャリアを考える | マイナビ 学生の窓口

 

つまり「熱量を込めてやりたいことをやった映画」でも「仕事として嫌々引き受けた映画」でも評判が良い時は良いし、悪い時は悪いということになる。

 

 

だからこの夏公開の山崎貴監督作品の一方が高評価で片方が賛否両論となったのは偶々という身の蓋もない結論を書いてこの記事を締めたいと思う。

 

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