小説版『パラレルワールド・ラブストーリー』のタイトルからの先入観と2つの世界の描写構成の凄み

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

[注意] 原作と映画のネタバレ有り

東野圭吾の人気小説の実写映画版『パラレルワールド・ラブストーリー』を観たら、昔読んだ原作の構成は上手かったなと改めて思ったので書き残しておく。

 

本作は主人公に取って麻由子という女性が「自分と同棲する彼女の世界」と「自分の親友の彼女の世界」の2つが登場する。タイトルの『パラレルワールド』という言葉に引っ張られて、この2つは並行世界だとミスリードさせられるが実際は「自分の親友の彼女の世界」が過去の話で、「自分と同棲する彼女の世界」が現在の話になっている。現在の主人公は実験によって過去を書き換えられていて「同棲している彼女は親友から紹介してもらった」と思い込んで生活していたが、次第に本当の記憶が蘇ってきて「どっちの記憶が本当なのか!?」と悩み苦しみ謎を解明しようとする話。

 

 

原作が上手かったのは小説という媒体をフル活用して章ごとに2つの世界の描写した事。前述した通りタイトルからの先入観もあり、まるで本当にこの世界とは別にパラレルワールドが存在するのではないかと錯覚させられる描写だ。しかし章が進むごとに2つの世界があるのではなく、2つの記憶があるのだと明かされていく。

 

本作を実写映画化する際にテレビのスペシャルドラマとかなら、CMが入るごとに世界が入れ替わるという風に演出するのも面白いと思ったけど実写映画だと区切りがないからどう演出するのか気になったので観に行ったけど、特に突飛な演出をする事なくスタンダートに2つの世界を並行して描く感じだった。当たり前だと言えば当たり前だけど…

 

 

ちなみに自分は既にオチを知った状態で観に行ってるのでどちらの世界を描いてるのか混乱する事はなかったが、原作未読の人にとってはどちらの世界を描いてるのか混乱しないか少し心配になった。その点も原作は章ごとに世界が入れ替わってたから、混乱する事もなくて素晴らしかった。

 

最後に電車のCGショボかったけど、少し『君の名は。』ぽかった。ラストの渋谷のスクランブル交差点の演出も新海誠監督作品みたいだったけど意識したのか気になった。

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)