日大アメフト悪質タックル問題の宮川選手は試合前に本当に指示があったと思い込んでいたのか?

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日大アメフト部で悪質タックルをした宮川選手が5月から試合に復帰するみたいです。警視庁の捜査では「宮川選手が監督・コーチの指示を勘違いした」という結論に至りましたが、個人的には宮川選手は試合前に本当に指示があったと思い込んでいたのかという疑念があります。今回はその理由を書きます。

 

理由❶ 「潰せ」の解釈

宮川選手は「『潰せ』を『怪我をさせろ』と解釈したから反則した」と説明していますが、アメフト用語で「潰せ」は強いタックルを意味し、日大アメフト部でも日常的に使用されており宮川選手は高校時代から同じコーチに同じ指示を受けルール内でプレーをしてきています。果たして今までルール内での強いタックルと認識していた「潰せ」の意味をいくら監督・コーチからプレッシャーをかけられたからといって「怪我をさせろ」と誤解釈してしまう事があり得るのだろうかと疑問に思います。

 

理由❷ 監督指示疑惑浮上の理由

監督指示疑惑が浮上した理由は宮川選手の3回の反則と資格没収処分について記者が部員に質問した際に「監督の指示です」と答えた事から、監督の試合後の囲み取材の内容と合わせて「監督の指示があったのではないか?」と報じられたのが始まりです。

ただ最初に記者に「監督の指示」と答えた部員は宮川選手から指示があった事を聞いたわけでも、指示があった事を知ってた訳でもなく試合後のミーティングで監督が「宮川について何か聞かれたらオレがやらせたと言え!」という宮川選手を庇う発言に沿ったモノです。つまり本件の最初は宮川選手の「指示があった」という証言からではなく、監督の「オレがやらせたと言え!」という宮川選手を庇う発言から始まっているのです。

 

理由❸ 試合前に指示について言及無し

警視庁の捜査結果で宮川選手への指示を知っていた部員は居なかったといいます。これは宮川選手が指示について試合前には誰にも話していなかったことを意味します。また監督・コーチにも「怪我をさせろという意味ですか?」といった確認はしていません。つまり宮川選手が「指示があった」と周囲に話し始めたのは試合後、それも「監督指示疑惑」の報道がされた後です。

 

理由❹ 反則プレーの内容

1回目の反則のみを切り取ってみれば「1プレー目で相手QBを怪我させる明確な意図を持った犯行」と捉える事も出来ます。しかし2回目と3回目の反則を合わせて見れば、果たして本当に「1プレー目で相手QBを怪我させる明確な意図を持った犯行」だったのかは疑問です。個人的には我を忘れて誰彼構わず当たり散らしているだけに見え、とても明確な目的を持ったヒットマンには見えません。

 

理由❹は個人的な見え方の問題なので様々な解釈があると思いますが、「宮川選手は今まで『潰せ』をルール内の強いタックルと認識していた」「監督の指示について最初に証言した部員は宮川選手への指示を知らなかった」「宮川選手が最初に指示について周囲に言及したのは報道後」という前者の3つの事実を踏まえると本件の見え方は大分変わってくるのではないかと思います。

少なくとも自分は宮川選手が試合前に指示があったと思い込んでいなかった可能性と反則時に傷害の意図がなかった可能性は高いのではないかと考えています。

 

 

空白の2週間

宮川選手が反則をした試合から会見をするまで2週間の空白期間があります。

その期間宮川選手は個人情報と共にネットで叩かれていました。

youtu.be

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またYouTubeでも上記のようなサムネイルを使った動画がアップされていました。冷静に考えて欲しいのですが、宮川選手にとって「監督・コーチからの結果を出せないなら試合に出さないというプレッシャー」と「ネットに個人情報が流出して犯罪者の様に叩かれまくっているプレッシャー」の何方が重いものなのかを…

恐らく多くの人と同様に宮川選手にとっても後者のプレッシャーの方が重かったはずです。それと同時に「監督から指示があったと本当の事を話して、自分の罪を正直に認めて欲しい」という声も多くありました。

監督・コーチが指示を否定した会見の後、井上前コーチに対して「監督の事を気にせず真実を話して欲しい」という意見が関学の監督を筆頭にありましたが、この発言は事実上の自白の強要になっています。公共の場で嘘吐き扱いされればやっていない事もつい「やった」と言ってしまいそうになります。恐らく宮川選手も空白の2週間の間にコーチと同じ立場に立たされていて、その空気に負けてしまったのでしょう。一度指示があったと認めてしまえば、後に引けなくなり次第に本当に指示があったと思い込んでいったみたいな感じだと思います。

そして「会見を開いて真実を話して謝る事が謝罪の第一歩になる」みたいな説得をされて、あの会見に繋がったんだと考えられます。宮川選手としても何か分かりやすい懺悔イベントを求めていたと思うので、会見を勧められれば断る理由もなかったでしょう。

 

 

異様な会見

ただ個人的にはあの会見も悪質タックル同様に異様なモノだったと思います。仮に宮川選手が直接監督・コーチから「怪我をさせろ」と具体的な指示があったと主張してるならともかく、「『潰せ』を『怪我させろ』の意味だと思った」レベルなら監督・コーチ側には傷害の意図がなかった可能性は十分想定出来たはずです。

被害者側は宮川選手への刑事罰を求めない意向を示していましたが、あの会見を開き刑事告訴した段階で指示の有無関係なしに宮川選手への傷害罪は決まった様なモノです。また示談成立で不起訴処分になったとしても「自分の試合に出たいという欲求の為に相手選手を負傷させようとした事実」は変わりませんし、指示が無かったと判断された場合「思い込みが激しい上に、勘違いで会見を開くヤバい奴」というイメージもついてしまいます。

また宮川選手は先輩から「相手が怪我して秋の試合に出れなければ得」という伝言があったから「潰せ」の意味は「怪我をさせろ」の意味だと解釈したと説明していましたが、そうなると「最初にコーチから「潰せば試合に出してやる」と聞いた時の解釈はどうだったのか?」とか「その先輩はどの様な意図で伝言をしてきたのか?」という疑問が湧いてくるはずです。その確認すらしない段階で宮川選手が自身の傷害罪を全面的に認めさせる会見を開いたのは異様に思います。果たしてあの会見は誰が提案して、どの様な過程で開く事が決まったのか非常に気になります。

 

 

最後に…

今回のエントリーは個人的な憶測ばかりですが、会見内容が1回目の反則ばかりにフォーカスが当たっていた事や1回目の反則と同様に傷害の意図を持ってタックルしたと説明した2回目の反則の被害者側には特に謝罪したという話がない事(しかも2回目の反則は「1プレーでQBを潰せ」の指示とは関係無い反則)などから1回目の被害者側の意向が強かったのではないかと考えられます。

ただもし宮川選手が本当に傷害の意図が無かった場合、ネットリンチや報道、被害者側からのプレッシャーで自分が「傷害の指示をされて犯行に及んだヒットマン」だと思い込んで犯罪者になった事件ということになるので「なんだかなぁ」という感じです。