『銀魂』最終回で感じる雑誌派とコミックス派の溝/雑誌とコミックスの同日発売を試みた『こち亀』の凄み

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<出典:『銀魂』/空知英秋/集英社>

今週号の「週刊少年ジャンプ」で「銀魂」が約15年の歴史に幕を下ろした。雑誌派が最終回を噛み締める中で、コミックス派はこれからネタバレに怯える日々が始まる。

 

コミックス派のデメリット

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純粋な寂しさが込み上げる中、連載マンガで大きな動きがある度に思うのがコミックス派の憂鬱だ。マンガは基本的に雑誌で連載され、その後数話分まとめてコミックスとして発行される。つまりコミックス派はどうしても雑誌派に遅れを取る。そして今回のような最終回までのカウトダウンが発表されてもコミックスと雑誌の話数の差を埋める事は出来ず、ただ指を咥えて眺めているしかない。この憂鬱は人気マンガの最終回に限った話ではなく、物語が大きく動いた時なども同様だ。さらにコレはそのマンガの転換期にリアルタイムで触れられない祭り的な楽しさが味わえないだけでなく、ネタバレに怯える日々が始まるというのも辛い。ネタバレをシャットダウンしようとしても近年はSNSでカンタンにツイートされ、見たくなくてもそのネタバレツイートを見てしまう可能性がある。またネットの世界に限らず、友達の些細な一言や電車や本屋、トイレなど公共の場で偶々そのネタバレについて話しているグループの会話からウッカリ知ってしまうリスクもある。最新の注意を払いビクビクしながらコミックスの発売まで待たなくてはならない。

さらにいざコミックスの最終巻が発売されて満を持して読んでも、雑誌に最終回が乗った時のようなリアルタイムでの祭り感を味わい難く何だか損した気分になるのも少し悔しい。「そこまで言うなら雑誌を買えばいいだろ!」と指摘されたらぐうの音も出ないのだが…

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雑誌とコミックスの溝を埋めた「こち亀」

こちら葛飾区亀有公園前派出所200巻 40周年記念特装版 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ただ雑誌とコミックスの溝を埋めて見事にお祭り騒ぎを演出した漫画も過去にある。それは秋本治先生の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(以下「こち亀」)だ。「こち亀」は完結が発表される2年も前から下準備がされていた。その証拠に本作のコミックスは191巻から全巻までの1.5倍の話数が収録されるようになり192巻以降も収録話数は増えていった。。「こち亀」のようなコミックスの巻数が出れば出る程話題になる作品が何故敢えて巻数が減るような事をするのか当時は不思議だった。しかし40周年と200巻のタイミングで完結した事実から遡って考えればカンタンだ。これは明らかに連載40周年のタイミングで200巻でピッタリと完結出来るように逆算されて実行されたのだ。

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<出典:「こち亀」/ 秋本治 / 集英社>

さらに「こち亀」が凄いのは最終回が掲載された「ジャンプ」と最終回が収録されるコミックスの最終回を同日発売した事。上の画像は左が「ジャンプ」掲載時の内容で、右はコミックスの収録時の内容だが雑誌とコミックスがリアルタイムで連動しているという芸を披露し、お祭り騒ぎを演出したのは流石の一言でしかない。その上でラストのオチを雑誌とコミックスで変えることで雑誌とコミックスの相乗効果での売り上げが期待でき、集英社としてもこれ程美味しい話はなかっただろう。

こちら葛飾区亀有公園前派出所200巻 40周年記念特装版 (ジャンプコミックスDIGITAL)
 

 

雑誌とコミックスの同日発売が難しい理由

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<出典:「こち亀」 / 秋本治 / 集英社>

ただコレが出来たのは流石レジェンドの名が相応しい「こち亀」だからこその事だろう。他の漫画家だとスケジュールが破綻しかねないし、現に秋本治先生ですらギリギリの状態での作業だったと「こち亀」の最終回でネタにされている。

ここで何故雑誌とコミックスの同日発売が難しいかを考えてみた。コレは憶測だが、原作者は自分の想いやファンへのサービスやメッセージを沢山詰めた最終巻を作りたいはずだ。ただ週刊誌などの雑誌連載と並行して単行本の作業をこなすのは至難の業だろうし、最終回掲載の雑誌とコミックスの最終巻を同日発売にするにはコミックスの刊行ペースも詰めなくてはならなくなり原作者や編集者の仕事量は増してしまう。更にコレを実現するには原稿のストックやスケジュール管理など今までの実績からこの原作者からやってくれるという出版社側と原作者との信頼関係も必要だろうから中々実現するのは難しいのだろう。

 

最後に…

雑誌とコミックスの同日発売は電子書籍でマンガの内容だけなら技術的には出来るんだろうけど、おまけページがないとか紙の書籍派の人からのバッシングとか色々ありそうだから中々踏み出せないのかな?何はともあれ雑誌とコミックスの溝は深い。そして「銀魂」が終わったのが寂しい…

[追記]「ジャンプGIGA」で「“最終回のむこう側”」がシリーズ掲載されるらしいです。というよりまとめられなかったらしいです。空知英秋先生だとコミックス同日発売は絶対無理ですね。

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