衝撃と絶望の残酷な最終回を迎えた『アイアムアヒーロー』を全話読破した感想

アイアムアヒーロー(22) (ビッグコミックス)

「マンガワン」っていう小学館のウェブアプリでコツコツと読み続けていた「アイアムアヒーロー」を遂に読破した。今回は「アイアムアヒーロー」の感想です。

 

あらすじ

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

ある日突然ZQNと呼ばれるゾンビのような存在が現れてパニックになる話。

 

1巻でジックリと描いた日常

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

本作の1巻はゾンビで出現するパニックマンガとは思えない程のスロースタートをする。1巻では35歳漫画家アシスタントのうだつの上がらない主人公の日常がジックリと描かれる。何も知らないで読み始めた人はダメ人間が主人公のヤダみを楽しむマンガだと勘違いする人も多かった事だろう。

しかし本作は1巻のラストで主人公の付き合っている彼女がZQNになり襲いかかってくる事で急変する。1巻かけてジックリと日常を見せた後のパニック描写は秀逸だ。この内容を週刊誌で挑戦した心意気が素晴らしい。

 

3人で箱根へのワクワク感

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

正直本作の前半部分の物語は個人的に「普通に面白い」くらいだった。しかしアウトレットモールあたりから面白が加速していき、そこを脱出してから比呂美と小田さんの3人で車に乗って箱根に向かうシリーズでは「早く次が読みたい!」と感じる程面白さに満ちていた。

 

以下「アイアムアヒーロー」の重大なネタバレあり

アイアムアヒーロー(1) (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー(1) (ビッグコミックス)

 

 

小田さんの魅力

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

個人的に本作で一番好きなキャラクターは、アウトレットモールで知り合った看護師の小田つぐみ。彼女は芯が強くその場の環境や人間関係にも上手く適応出来る頼り甲斐のある女性だ。アウトレットモール脱出後は前述した通り主人公と行動をするけどその途中のやりとりや肉体関係に至る事など見所も盛り沢山。また実写版では長澤まさみが演じていた事から、少しエッチなシーンは全部長澤まさみに置き換えて考える事でより楽しめた。

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

少し変態っぽい文章になってしまったが、本筋に戻って小田さんのらしさを前面に出した最期は本当に泣けた。最後まで自分の中にプライドを守り切って、何処か悟り過ぎてしまったが故の敗者ぶりが素晴らしくカッコ良かった。きっと3人で生き残ると信じてたのに…

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

死んだ後に精神世界みたいな場所で自分の妹に「主人公を守って」と頼むラストも好き。何だかんだ義理を守る感じが、とても人間の強さを感じさせたし憧れた。

 

早狩比呂美の嫉妬

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

そんな自分が大好きな小田さんを殺したのは何と主人公と小田さんと一緒に行動していた1人の比呂美だった!というより、ZQNに「小田さんを殺したい」という意思を伝えて殺したといった感じだ。その事実に気付いた彼女は主人公にその事を伝えて巨大なZQNの中に取り込まれていく。

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

そして比呂美を助けるために、今までうだつの上がらない生活をしてきた主人公が遂に戦う決意をするシーンは凄くカッコいい!

…のだが、「この時のカッコ良さは何だったのか?」と思わずにはいられない衝撃のラストを主人公は迎える事になる。この件は後述する。

 

新興宗教のヤダみ

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

主人公の行く末の前にパンデミックが起きた絶望的な世界では、人は何かに助けを求めようとする。其処で本作は新興宗教の誕生が描かれる訳だけど、コレが良い意味でヤダみや気持ち悪さを醸し出していて最高だった。

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

教祖になろうとした男が自分の手では人を殺さず、物事の判断をまだ自分でする事が出来ない少年を「自分たちのやってる事は正しい事」と洗脳してをボタンを押させるシーンもリアル。某新興宗教団体を思い出した。

ただ結果論で10年、100年後にこの新興宗教が本当に凄い宗教と扱われている可能性を考えるの凄い怖い。世界史で学んだ宗教も基本的にアレな始まり方だったしね!

 

以下最終回のネタバレ

アイアムアヒーロー(22) (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー(22) (ビッグコミックス)

 

 

クライマックスの主人公

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

カッコよく決意した主人公の話に戻すと、何故か偏見に満ち溢れた見解により状況を理解しようとせず勘違いでZQN側に主人公は加勢してしまう。「お前何やってるんだよ!」とイライラしながらも「きっと誤解が解けて最後は主人公が真の意味でヒーローになるんだ!」と信じて読み進めた。

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

ただそんな淡い期待は見事に打ち破られる。一連の騒動が落ち着くと主人公は1巻のパニック前と同じく架空の相手に持論を語り続けている。しかもその持論は間違っている上に、自分は東京に1人生き残った英雄だと本気で思い込んで妄想しているようで救い難い。

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

このままどういう救いが来るのだろうと読み進めていくと最終回で主人公のハゲた頭を見て時間の経過を理解して絶望した。「あぁ、この主人公は救われないんだ…」と… そういえば比呂美が「コイツは生きている方が苦しむ」とか言ってたっけ… きっとコイツはこのまま死ぬまで1人で妄想の相手に持論を語り続けるのだろう…

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

だからこの何かを決意して一歩を踏み出したかのように見えるラストカットも、主人公が自分だけの世界で酔っている残念かつ残酷なカットなんだなと…そう思うと最終巻の表紙の白い背景にカラーの主人公も主人公の残念さを表現しているように感じられて不憫。これじゃ主人公・英雄(ひでお)の名前から「私はヒーロー(アイアムアヒーロー)」じゃなくて「私は1人の英雄(アイアムアヒーロー)」だよ!

 

最後に…

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<出典:『アイアムアヒーロー』/花沢健吾/小学館>

ただ本作に関してはこちら側が勝手にハッピーエンドが訪れる、この危機的状況を前に主人公は成長すると期待した結果裏切られた感があるだけで「この日常がいくら変わろうが、変われない人間もいる」という事を伝えたかった物語だと考えれば凄く面白かったです。また主人公に憧れていた漫画家の人は本来なら主人公がなるべきだった人として出しているように感じました。何だかんだで全体を通して結構面白かったし、中盤は本当に面白いのでオススメです!

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