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「スリー・ビルボード」は正しくなくても本物はあると感じさせられる作品だ!

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今回は「スリー・ビルボード」の感想を語ります。

 

観る前の期待度

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「第90回アカデミー賞」で「シェイプ・オブ・ウォーター」と最優秀作品賞を争った本作ですが、個人的には「観てみれば結構面白いんだろうな〜」くらいの期待度でした。

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ただ予告編で男の金的を蹴る主人公が、

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蹴られた男を余裕の表情で高みの見物をしてた横の女の股間も蹴るシーンを観て、「男にも女にも同じ所を蹴る男女平等を訴える映画なのかな?」なんて勝手に思ってました(嘘)。

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また「青い服を着た強気な女のキャラクターは「天空の城ラピュタ」のドーラに雰囲気に似てるな〜」なんて考えてました。

 

観た後のネタバレ感想

評価:★★★★(5段階評価)

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「シェイプ・オブ・ウォーター」は良い意味で思った通りの作品でしたが、本作は良い意味で思ってたのと全然違くて予想外の展開ばかりでかなり楽しめました。

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本作の物語は娘をレイプされ焼殺された母親が警察の捜査が滞っている事に腹を立てて「警察にちゃんと事件を捜査しろ!」という旨の広告看板を3枚立てます。これは真っ赤な目立つ看板広告で舞台が田舎なのでかなり話題になります。この時点で自分は偉そうなくせに怠惰な警察に対して被害者の母親が勇敢に立ち向かっていく物語だと勘違いしました。また冒頭で広告の店の窓際にいる虫に優しくしていたので「心優しいお母さんが愛する娘の為に多少強引な手段を使っても頑張る話」だとも誤解しました。

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しかし!広告に対して苦情を言っただけの歯医者に対してドリルで親指に穴を開けるという野蛮振りにビックリ!さらにレイプされた娘に対しての最後の言葉が「レイプされちまえ!」だった事にもビックリ!(多分このセリフが最後だったことの後悔も彼女の中で今回の過剰な行動に出た動機の1つだと考える。)元から結構ヤバイ奴だった!さらに新潟県の事件の影響からてっきり娘って幼女だと思ったら高校生〜大学生くらいの年齢だった事にもビックリ!勘違いしてたぜ!思い込みとは恐ろしい… ちなみにこの主人公はこの後警察に火をつけるなど結構やりたい放題です。

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署長は完全な融通の利かない頭の固い警官かと思ったら、ガンで余命僅かの設定でこっちにもビックリ。しかも超家族思い。彼が妻に自分が苦しむ姿を見られて苦しんで欲しくないという思いから家族と大切な日を過ごした最新の記憶を持って自殺するシーンはとても切なくて感動した。「正しい正しくない」という一般論の視点から見れば自殺は正しくない選択なのかもしれないけど、その正しくないかもしれない選択をした署長の気持ちは本物だったと思う。彼が広告看板の3ヶ月目のお金を出したのも彼の中で本当に事件を解決出来なかった事に対して悔いがあったことを表していて良かった。

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黒人差別が激しく暴力的な彼が署長が死んだ後広告店の窓ガラスを割って民間人を窓の外に放り投げたシーンは観てる時は最悪だと思ってたけど、今思い返せばそれだけ署長が亡くなったことがショックで何かに当たらずにいられなかったんだろうなと同情する気持ちに… この選択も一般論なら正しくないかも知れないけど彼のやりきれない気持ちと署長への想いは本物だったんだろうなとか考えたり… だからこそ警察をクビになった後犯人らしき人物を酒場で見つけた時いきなり殴りかからず署長からの「冷静になれ」というアドバイスに忠実に従ってまず車のナンバープレートを確認してからその人物の皮膚を取り殴られた姿には男を見た気がした。窓の外に投げてしまった民間人にもちゃんと謝ったのも好印象だった。

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ラストは対立してた2人で娘を殺した犯人ではなかったがレイプ犯であることはまず間違えない男を懲らしめる為に2人でアイダホに向かう車で物語は幕を閉じる。ここで初めて看板広告を裏側から映すのは主人公の心境の変化を表しているのかな?このラストの車の中で「男を殺す?」「道々考えればいいわよ。」というやり取りも良かった。やっぱり人生って何が起こるか分からないので進みながら考えていくしかないところはあると思うので、正にそれを象徴するやり取りだなと思いました。現に本作に出てくる登場人物の多くは映画の最初と最後で大きく印象が異なりましたしね。とても上手く人間の多面性を描かれているなと感じました。この映画を観ると少し人に優しくなれるかも…

最後に本作の登場人物って基本的に一般論からすれば正しくないことばかりしてると思うんですよ。傍目からは暴走としか思えない行為も多い。ただ本作はその正しくないことを「美談にまとめやがって!」みたいな厭らしさを感じさせずにそこに至った動機は本物だったからと上手く表現していてそこが良かったなと感じました。ブラックコメディとしてもオススメです。

 

おまけ

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左はアメリカのポスターで右は日本のポスターなんだけど、日本のポスターはアメリカと違って看板を強調する為に看板を文字が見える表側にしている。ただこのデザインにすると英語圏では一番左側の看板がネタバレになってしまう為当初はNGが出た。しかし日本のデザイナーは一番左側を霧で覆いサスペンス調のポスターにする事で監督からOKを貰った。

スリー・ビルボード (字幕版)

スリー・ビルボード (字幕版)

 
スリー・ビルボード (吹替版)

スリー・ビルボード (吹替版)