3D映画は何故衰退してしまったのか?

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今回のエントリーでは「3D映画は何故衰退してしまったのか?」をテーマに語ります。

 

3D映画が過去8年で最低だった全米興行収入

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2017年の全米での3D映画の興行収入が2009年公開の「アバター」以降8年間で過去最低だったことが報道された。3D映画は入場料金が高なるため一人当たりのチケットアベレージが上がる為2D映画と同じ動員数を出せても興行収入では大きな差をつけることが出来るなど利点も大きい。その為2010〜2012年頃に公開された映画の続編はシリーズの動員数としては低迷していても興行収入は右肩上がり、もしくは横ばいな作品が多かった。しかし3D映画が衰退した結果作品自体のブランド力が落ちているシリーズ映画は前作より大幅に興行収入を落とすことになる。その結果2016〜2017年に公開された続編映画のほとんどはシリーズ最低記録を更新してしまっている。2020年には「アバター2」が公開されるが、キャメロン監督のインタビューによると映画史上初モーションキャプチャーを使った水中撮影を実行したという。どうやら1作目ではパンドラの森を舞台に物語を描いたが、2作目ではパンドラの海を舞台に物語を描くようだ。果たしてこの作品で3D映画の衰退に歯止めをかけることが出来るのか?そもそも予定通りに公開されるかも不安だが、正直1作目の「3D」という絶大なインパクトからは「水中モーションキャプチャー」の売りはインパクトに欠けるように感じる。確かに水中を舞台にしたクリーチャー映画は珍しいが… 予告編映像でどこまでのインパクトを与えることが出来るのか今から大注目の作品だ。

 

日本での3D映画事情は?

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では日本での3D映画事情はどうだろうか?調べてみると日本人で3D映画を選ぶ人の割合は全体の約10%程度で約90%の人が2D映画を選ぶという。また日本での歴代3D鑑賞率1位を誇るのは2011年公開の「トランスフォーマー/ダーク・サイド・ムーン」の83.3%(「アバター」の3D鑑賞率は76.0%)だが、昨年公開の「トランスフォーマー/最後の騎士王」の3D鑑賞率は約50.0%と30%以上数値を落としていることになる。それでも「トランスフォーマー」となれば2人に1人は3Dを選ぶのだからやはり作品に3Dで観たいという魅力があるからの話なのかもしれない。そう考えると3Dブーム初期に公開されたマーケティングの為だけに公開された低クオリティの3D映画の罪は大きく感じる。それらの作品を観て3Dで観る必要はないと判断してそれ以降3D映画を一度も観ていないという人もかなり多くいるだろう。そもそも海外では3D映画として大々的に公開されている作品が日本では2D版だけで公開されているケースも多く、3D版が公開されていても1日1回というケースも珍しくない。現に2014年に公開されたメガヒット作「アナと雪の女王」は3月公開時点では吹き替え版は2D版しか上映されておらずゴールデンウィーク興行に合わせて3D吹き替え版も日本で急遽追加公開をした。これは日本では3D映画の需要が少ないと考えられている証拠だ。

  

3Dではなく2Dしか観ない映画関係者

LiLiCo ラヴズ・ムービー・ヒット・ソングス

映画関係者の試写会は余程3Dに自信がある、またはマーケティング的に3Dを推したいと考えられている作品以外は基本的に2D版を上映しているという。その為2D版しか観てない映画評論家や映画ライターは3D版について触れることが出来ない。それどころかLiLiCoさんは「王様のブランチ」で「私は2Dで観たが、3Dで観たような没入感を感じることが出来て画面から本当に飛び出してくるかと思った。」みたいな感じの「別に3Dで観る必要はない。」と解釈されてもおかしくないコメントを定期的にしている。もちろん2D版の試写会の後に3D版を劇場に観にいく評論家や試写会を使わず自分のお金で2D版と3D版を比べる評論家もいてしっかりとそこに言及する評論家やライターなどもいるが、やはり地上波で映画コーナーを持っているLiLiCoさんの言葉の影響は大きいだろう。

 

日本の3D映画

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最後に日本の実写映画での3D映画について語りたい。日本の大作映画で初めて3D映画に挑戦したのは2010年公開の「THE LAST MESSAGE 海猿」だ。これは3D映画のブームを敏感に感じ取ったフジテレビが製作費を1.5倍まで増やして急遽3D映画にした作品だ。もちろん時代の最先端を積極的に作品に取り入れていくフジテレビの姿勢は素晴らしいが、本来2D版として公開する予定だったため作品には3Dを意識した演出は全く施されていなかった。その為映画スタッフは柱を増やすなど立体感を出すための努力を重ねたが、多くの観客が満足する域には達しなかった。また日本人では本作を持って3Dデビューをした人も多かったと予想され、「3Dは意味ない。」という印象を植え付けてしまった作品にも思える。現に当時のフジテレビの朝の情報番組で「最初の東宝マークの立体感が一番凄かった。」という「それもうダメじゃん…」としか思えないコメントをしている人もいた。褒めているようで貶しているとは正にこの事だ。

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その後2012年に山崎貴監督の「ALWAYS 三丁目の夕日’64」が3Dで公開される。さすがこの分野には強い山崎貴監督だけあって3D映画への意気込みは強く、2Dからの変換ではなく本当の3Dに挑戦するべく3D専用のカメラを使って撮影を行った。さらに「アバター」以降の奥行きの3Dだけでなく飛び出す3Dも積極的に取り入れる演出を施した。しかしオープニングの東京タワーの長回しのショットなどVFXをふんだんに使った一部のシーンを除けばほとんど3Dの効果を発揮させるシーンは少なく、さらに年配の客層が多い本作ではほとんどの人が2Dでの鑑賞を選んだという。恐らくこの結果から日本の映画会社は3D映画は日本では流行らないという結論を出してしまったように思える。その証拠に現代日本映画に3D映画はほとんど存在しない。

 

というわけで3D映画の衰退の理由を考えてみました。実際問題2Dでも問題ない映画も多い一方確実に3Dで観た方が楽しめる作品も多いと思うのでこれからの進化にも期待しています。