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堤幸彦監督作品や大根仁監督作品など数々のヒット作を生み出した会社の代表の新書「素人力」を紹介!

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素人力 エンタメビジネスのトリック?! (光文社新書)

今回は珍しく新書の紹介をしたいと思います。タイトルは「素人力 エンタメビジネスのトリック!?」です。皆さんは「オフィスクレッシェンド」という会社をしていますか?テレビドラマをよく見る人はなんとなく聞いたことがあるかもしれません。この会社は「金田一少年の事件簿」や「ケイゾク」「トリック」「SPEC」「20世紀少年」などの堤幸彦監督作品や「モテキ」「バクマン。」などの大根仁監督作品など数々のヒット作品を生み出した映像制作会社です。そしてこの新書ではこの会社の代表がエンタメビジネスについて語っています。今回はこの本のオススメポイントを紹介していきます。

 

①制作会社の大変さが分かる

第1話

堤幸彦監督の代表作といえば「トリック」を真っ先に思い浮かべる人も多いと思います。実際本作は14年以上もシリーズが続きテレビドラマの最高視聴率は24.7%の高視聴率を記録しており、劇場版4作の興行収入は合計で70.5億円を稼ぐ大ヒット作品です。しかしこの本を読むと「トリック」の第1シーズンは堤幸彦がロケ撮影に拘った結果3000万円の大赤字になったエピソードが語られています。そしてこの赤字額3000万円を埋める為の堤幸彦監督が取った驚きの行動やそんな赤字作品の続編にゴーサインを出したプロデューサーの判断の理由などが語られていて中々面白いです。

 

②プロデューサーの苦労が分かる

【映画チラシ】金田一少年の事件簿 上海魚人伝説 堤幸彦 堂本剛 ともさかりえ [映画チラシ]

この本からプロデューサーという職業の苦労が伝わってくる。例えば堤幸彦監督の出世作品「金田一少年の事件簿」は堤監督が本作のオファーを受けることに対してある条件を堤幸彦監督はプロデューサーに提示する。そのある条件の内容は本を読んでもらうとして、その条件は日本テレビからしたら受けるわけにはいかない条件だった。しかしプロデューサーは監督に思いっきり作品制作に集中してもらうために自身のキャリアを賭けてその条件を叶えてくれた。これは当時の局内では大分風当たりが強かったというが、監督が求める良い作品の為に戦うプロデューサーの苦労が感じ取れる。

20世紀少年 -第1章- 終わりの始まり

またプロデューサーは監督のキャリアを守らなければならない。堤幸彦監督がメガホンを取った「20世紀少年」は通常の邦画の予算3〜5億円を大幅に上回る総製作費60億円の超大作だった。プロデューサーは本作のオファーが堤監督に来た時は大コケしたら堤監督のキャリアに傷が付くと考えてオファーを断ったという。(ちなみに「20世紀少年」公開時の堤幸彦のインタビューを読むと本作がコケた場合映画監督を辞めようと考えていたという。)しかし何度もオファーが来ることで石橋を叩くように企画を詰めていったエピソードなど様々な苦労話がこの本には盛り込まれている。

 

③監督から見たプロデューサーが分かる

映画「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」【TBSオンデマンド】

本書には堤幸彦監督と著者の対談も掲載されており、堤幸彦監督視点から見たプロデューサーとの付き合い方が語られている。例えば「何故堤作品は賛否が分かれるのか?」という問いに対して「ケイゾク」を例に出し「プロデューサーにサービスをしているから。」と答えている。そこで映画評論家の町山智浩さんが堤幸彦の事を「世渡りが上手い人」と悪い意味で評していたのを思い出した。過去に町山さんが堤作品で評論したのは「20世紀少年」と「BECK」の2作品だ。そして奇しくもこの対談ではこの2作品は興行的にヒットしたにもかかわらず酷評されたと堤幸彦は語っている。そしてその酷評に対して彼なりのアンサーを出している。そこには職人としての映画の捉え方を感じて中々読み応えのある対談だった。

 

他にも「監督とプロデューサーの関係性」や「監督とプロデューサーの名コンビ」「秋元康さんの凄さ」「仕事の向き不向きについて」などこの会社に関わった人のエピソードがテンコ盛りです。

最後に本書には「ミニ堤を脱した大根仁」という章があります。その章に対しては下のリンクのインタビューが補足になると思います。

www.cinra.net

このインタビューでは大根仁監督が自身のキャリアについて語っていて、

僕もいろいろなサンプリングを繰り返して撮ってきたんですけど、一時期、明らかに師匠である堤幸彦の劣化コピーみたいなこともやっていたんです。でも、それじゃまずいと思って、まず堤さんがやっていないことをピックアップして、やっていこうと思った。堤さんは脚本を書かないから、書いてみよう。堤さんはカット割り重視だから、僕はライブな撮り方をしよう。編集はある程度お任せでやっているから、僕はイチから編集しよう。自分でカメラを回すのも、モニターを置かないのもたぶん同じ考え。尊敬する人と逆のやり方をしてみるのも、自分の武器を見付けるには、アリだと思いますね。

と堤幸彦監督の逆をあえてやる事で自身の作風を生み出したと語っています。尊敬する人のマネをしたくなるところを発想を転換させて逆をやるというのはスゴイですね。そういえば「NARUTO」の岸本斉史先生もライバルである「ONE PIECE」の逆をあえてやったと語っていたので発想の逆転は大切なのかもしれない。

というわけで堤幸彦監督作品や大根仁監督作品が好きな人には「素人力」オススメです!

 

おまけ

本書の中では著者が野球が好きなことから野球の例え話が出てくる。大根仁監督は「scoop」という映画のインタビューで野球の例え話が嫌だと語り、劇中でも新人の二階堂ふみが上の立場の(正確には二階堂ふみは正社員で福山はフリーのカメラマンだが…)福山雅治に同様のセリフを吐く。本書の中で著者は大根仁監督と相性が良くないという冗談を書いている。ホンネなのか?と少し思ったり… 勝手な憶測です。

素人力 エンタメビジネスのトリック?! (光文社新書)

素人力 エンタメビジネスのトリック?! (光文社新書)